リハビリにどれくらい費用がかかるのか、不安に感じていませんか?
この問題は、医療保険リハビリや介護保険リハビリ、自費リハビリの自己負担額について理解することで解消できます。
私自身もこの部分をよく理解しておらず、苦労した経験があります。
そこで今回は、リハビリにかかる費用について詳しく見ていきます。また、生活保護や高額療養費制度についても触れていきます。
このブログを読むことで、リハビリ費用に関する疑問が解消されることでしょう。
目次
入院中の医療保険リハビリはいくらかかるのか
入院中のリハビリは、医療保険が適用されます。
ここからは、その算定方法について分かりやすく説明していきます。
医療費の算定方法
医療費=単位×保険点数となり、そのうち自己負担額は1~3割になります。
単位とは
単位は疾患や施設により変わってきます。リハビリ単位は下記となります。
※2024年5月19日現在
心大血管疾患 | 脳血管疾患等 | 廃用症候群 | 運動器 | 呼吸器 | |
リハビリ科(Ⅰ) | 205点/単位 | 245点/単位 | 180点/単位 | 185点/単位 | 175点/単位 |
リハビリ科(Ⅱ) | 125点/単位 | 200点/単位 | 146点/単位 | 170点/単位 | 85点/単位 |
リハビリ科(Ⅲ) | 100点/単位 | 77点/単位 | 85点/単位 | ||
標準的算定日数 | 150日 | 180日 | 120日 | 150日 | 90日 |
・また、リハビリ1単位=20分となっており、1日6単位(厚生労働大臣が定める患者は9単位)まで認められています。
保健点数とは
保険点数は、1点=10円とされています。
具体的な計算例
【条件】
・脳血管疾患の患者
・自己負担額1割
・リハビリ科(Ⅰ)の施設の病院に入院
・1日3単位(60分)のリハビリ
の時の自己負担額はいくらになるでしょうか?
【計算】
245点/単位×3単位=735点
735点×10円=7,350円
7,350円×10%=735円
つまり、この患者の自己負担額は、1時間あたり735円になります。
退院後の介護保険リハビリはいくらかかるのか
退院後のリハビリは、基本的に介護保険が適用されます。
ここからは、その算定方法について分かりやすく説明していきます。
介護報酬の算定方法
介護報酬=単位数×単価となり、そのうち自己負担額は1~3割になります。
また、介護保険に関しては3年後ごとに改訂がされます。そこで今回は、2024年改訂内容でお話させていただきます。
単位数とは
訪問リハビリ、通所リハビリ、介護認定により変わってきます。具体的には、下記となります。
1、訪問リハビリ
※2024年6月1日施工~次回改訂まで
訪問リハビリテーション | |
要介護 | 308単位 |
要支援 | 298単位 |
・また、訪問リハビリは1回=20分以上となっております。
2、通所リハビリ
・通常規模型通所リハビリテーション費 (1日につき)
※2024年6月1日施工~次回改訂まで
要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 | |
1~2時間未満 | 369単位 | 398単位 | 429単位 | 458単位 | 491単位 |
2~3時間未満 | 383単位 | 439単位 | 498単位 | 555単位 | 612単位 |
3~4時間未満 | 486単位 | 565単位 | 643単位 | 743単位 | 842単位 |
4~5時間未満 | 553単位 | 642単位 | 730単位 | 844単位 | 957単位 |
5~6時間未満 | 622単位 | 738単位 | 852単位 | 987単位 | 1,120単位 |
6~7時間未満 | 715単位 | 850単位 | 981単位 | 1,137単位 | 1,290単位 |
7~8時間未満 | 762単位 | 903単位 | 1,046単位 | 1,215単位 | 1,379単位 |
・大規模の事業所の場合 平均利用延べ人員751人~/月 (1日につき)
※2024年6月1日施工~次回改訂まで
要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 | |
1~2時間未満 | 357単位 | 388単位 | 415単位 | 445単位 | 475単位 |
2~3時間未満 | 372単位 | 427単位 | 482単位 | 536単位 | 591単位 |
3~4時間未満 | 470単位 | 547単位 | 623単位 | 719単位 | 816単位 |
4~5時間未満 | 525単位 | 611単位 | 696単位 | 805単位 | 912単位 |
5~6時間未満 | 584単位 | 692単位 | 800単位 | 929単位 | 1,053単位 |
6~7時間未満 | 675単位 | 802単位 | 926単位 | 1,077単位 | 1,224単位 |
7~8時間未満 | 714単位 | 847単位 | 983単位 | 1,140単位 | 1,300単位 |
・介護予防通所リハビリテーション費(1月につき)
※2024年6月1日施工~次回改訂まで
要支援1 | 要支援2 |
2,268単位 | 4,228単位 |
単価とは
基本は1単価=10円となっていますが、地域や介護種目に応じて割り増しがされます。
※2024年5月19日現在
地域上乗せ割合 | |
1級地 | 20% |
2級地 | 16% |
3級地 | 15% |
4級地 | 12% |
5級地 | 10% |
6級地 | 6% |
7級地 | 3% |
その他 | 0% |
・地域区分(1~7級地、その他)の詳細については、下記サイトをご覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001146441.pdf
・人件費割り増しは下記のようになっております。
訪問リハビリの人件費上乗せ割合:70%
知通リハビリの人件費上乗せ割合:55%
・その他特別地域加算、小規模事業加算などもあります。
具体的な計算例:訪問リハビリ
【条件】
・要介護
・自己負担額1割
・東京23区在中(1級地)
・1日1回(20分)のリハビリ
の時の自己負担額はいくらになるでしょうか?
【計算】
308点×1回=308点
20%×70%=0.14
10円×0.14=1.4円
10円+1.4円=11.4円
308点×11.4円≒3,511
3,511×10%≒351
つまり、この患者の自己負担額は、1回(20分)あたり351円になります。
具体的な計算例:通所リハビリ
【条件】
・要介護3
・自己負担額1割
・東京23区在中(1級地)
・通常規模型通所リハビリテーションに1~2時間/日
の時の自己負担額はいくらになるでしょうか?
【計算】
20%×55%=0.11
10円×0.11=1.1円
10円+1.1円=11.1円
429点×11.1円≒4,761円
4,761円×10%≒476円
つまり、この患者の自己負担額は、1~2時間あたり476円になります。
自費リハビリはいくらかかるのか
これまで公的なリハビリについて見てきましたが、それだけではリハビリを受けられない方も存在します。
なぜなら、医療保険リハビリや介護保険リハビリには様々な制約があるからです。
そのような場合の選択肢として、自費リハビリがあります。自費リハビリの相場は1時間あたり約10,000円です。一見高額に思えるかもしれませんが、医療保険や介護保険を使わずに全額自費でリハビリを行う場合、同額以上の費用がかかることがほとんどです。
そのため、公的なリハビリを受けられない、もしくは満足のいくリハビリができない場合、自費リハビリは重要な選択肢の一つとなります。
生活保護を受けた場合の医療・介護保険リハビリ費について
生活保護を受けた場合、医療・介護保険リハビリの自己負担額は無償となります。
なぜなら、生活保護を受けると、医療扶助や生活扶助で医療費や介護費が免除されるからです。
ただし、注意が必要なのは、生活保護では「健康で文化的な最低限度の生活」を保障している点です。そのため、リハビリに関しても最低限度しか認められないケースもあります。
つまり、生活保護を受けた場合、医療・介護保険リハビリの自己負担額は無償となりますが、更なる制約を受ける場合もあるのです。
高額療養費制度について
高額療養費制度とは、医療費の自己負担額が高額になった場合に、その超過分を後で払い戻す制度です。この制度は、医療費が家計に過度な負担をかけないようにするために設けられています。
医療保険でリハビリを受けた場合、この制度も活用することが可能になります。
具体的には、1ヶ月の自己負担額が一程度を超えた場合、超過分は医療保険制度でまかなわれる形となります。
自己負担額の上限は下記となります。
69歳以下の自己負担限度額
※2024年5月19日現在
適用区分 | 自己負担限度額(世帯ごと) |
住民税非課税者 | 35,400円 |
~年収約370万円 健保:標準報酬月額26万円以下 国保:旧ただし書き所得210万円以下 | 57,600円 |
年収約370~約770万円 健保:標準報酬月額28万~50万円 国保:旧ただし書き所得210万~600万円 | 80,100円+(医療費-267,000円)×1% |
年収約770~約1,160万円 健保:標準報酬月額53万~79万円 国保:旧ただし書き所得600万~901万円 | 167,400円+(医療費-558,000円)×1% |
年収約1,160万円~ 健保:標準報酬月額83万円以上 国保:旧ただし書き所得901万円超 | 252,600円+(医療費-842,000円)×1% |
70歳以上の自己負担限度額
※2024年5月19日現在
適用区分 | 自己負担限度額 | 自己負担限度額 |
個人ごと(外来) | 世帯ごと | |
Ⅰ住民税非課税世帯(年金収入80万円以下等) | 8,000円 | 15,000円 |
Ⅱ住民税非課税世帯 | 8,000円 | 24,600円 |
年収156万~約370万円 標準報酬月額:26万円以下 課税所得額:145万円未満等 | 18,000円 (年間144,000円) | 57,600円 |
年収約370万円~約770万円 標準報酬月額:28万円以上 課税所得額:145万円以上 | 80,100円+(医療費-267,000円)×1% | |
年収約770万円~約1,160万円 標準報酬月額:53万円以上 課税所得額:380万円以上 | 167,400円+(医療費-558,000円)×1% | |
年収約1,160万円~ 標準報酬月額:83万円以上 課税所得額:690万円以上 | 252,600円+(医療費-842,000円)×1% |
具体的な計算例
【条件】
・69歳以下
・年収約370~約770万円
・1ヶ月の入院費が100万円
の自己負担額はいくらになるでしょうか?
【計算】
80,100円+(1,000,000−267,000円)×1%=87,430円
になります。
おわりに
ということで今回は、リハビリにかかる費用について見てきました。
リハビリの費用は、その種類や適用される保険制度により異なります。医療保険や介護保険が適用される場合、自己負担額は1~3割程度で、施設のランクや地域、リハビリ内容により変わります。
入院中のリハビリは医療保険が適用され、退院後は介護保険が適用されます。訪問リハビリや通所リハビリによっても費用が異なります。自費リハビリは高額ですが、保険適用外の場合や専門的なリハビリを希望する場合に重要な選択肢です。
生活保護を受けている場合、自己負担額は免除されますが、リハビリ内容に制約があることがあります。また、高額療養費制度を活用することで、一定以上の自己負担額が発生した際に超過分が払い戻され、家計への負担が軽減されます。
このブログが、リハビリ費用についての不安を解消し、適切なリハビリ選択に役立つことを願っています。
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